劇症肝炎・原発性胆汁性肝硬変・肝膿瘍・黄疸の症状と治療法

黄疸をおこす症状

肝臓の大きさが小さくなる劇症肝炎、胆汁の分泌や排せつが障害をおこす原発性胆汁性肝硬変、肝臓が化膿する肝膿瘍、これらの病気の症状で黄疸があらわれ、皮膚や眼球の白いところが黄色くなる症状です。

肝臓の大きさが小さくなる劇症肝炎

黄疸の治療

 

受診科

内科・消化器内科・外科

 

劇症肝炎は、急に肝細胞が広範囲に壊れて、肝臓の機能が低下して、肝臓の大きさが小さくなり、
黄疸などを起こしてしまうものです。

 

原因

原因の9割はウィルスによるもので、残りが薬剤によるものですが、身体の免疫反応が過剰になることで発病することが多いのです。
ウィルスで多いのはB型で、薬剤としては、麻酔薬や抗生物質、降圧薬などへのアレルギーが原因となります。すぐ処置をしなければ命にかかわります。

 

症状

まず全身倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐などが現れてから黄疸が出ます。
進行すると、頻脈、血圧低下、腹水、浮腫などがあります。
ひどくなると、うわごとを言ったりする意識障害がおき、昏睡状態になります。

 

治療

入院して肝臓の機能を回復させるための薬物療法や血漿交換などを行い合併症を防ぐ治療をします。

 

胆汁の分泌や排せつが障害をおこす原発性胆汁性肝硬変

 

原発性胆汁性肝硬変は原因不明の胆汁うっ滞によっておきる肝硬変です。
胆汁うっ滞というのは、胆汁の成分が肝臓に沈着したり血液中に停滞することで、
胆汁の分泌や排せつが障害されるものです。

 

原因

原発性胆汁性肝硬変は免疫異常が関係すると考えられていますが、原因ははっきりしていません。40歳代以上の女性に多い病気です。
進行して肝不全に移行したり、食道静脈瘤ができて破裂すると、死亡することもあるのです。

 

症状

自覚症状のないものもありますが、症状が現れる場合は、まず皮膚のかゆみが出てきて、
それから黄疸が現れることもあります。また、ビタミンDやカルシウムの吸収が阻害されると、
骨軟化症や骨粗しょう症を合併する場合があります。

 

治療

かゆみには薬物を使用しますが、病気そのものを治療する確かな方法はありませんが、
食道静脈瘤ができていれば破裂しないようにする処置をします。

 

肝臓が化膿する肝膿瘍

 

肝膿瘍は細菌や寄生虫によって肝臓が化膿する病気で、化膿性肝膿瘍とアメーバー性肝膿瘍に分かれます。

 

原因

化膿性肝膿瘍は、胆道の炎症が原因となることが多く、その他に肛門の炎症や虫垂炎に合併したり、腹部の手術後に大腸菌が感染しておきます。
アメーバー性肝膿瘍は、腸アメーバという熱帯にいる原虫が肝臓に入って感染するもので、
熱帯に住んでいる人がよくかかります。
体力や抵抗力の低下した病人や老人に発症しやすい病気で悪化すると死亡率の高いものです。

 

症状

発熱、みぞおちの右の腹痛、肝臓腫大が特徴的な症状です。
また、全身倦怠感や食欲不振、黄疸などの肝臓病の症状も現れることもあります。

 

治療

原因となる病気があれば、その治療をします。
抗生物質や抗アメーバ薬などの薬物療法を行い、症状によっては手術で膿を排出します。

 

皮膚や眼球の白いところが黄色くなる黄疸

 

ビリルビンという胆汁色素は肝細胞から分泌される胆汁に混じって十二指腸に送られますが、
何か障害があるとビリルビンが胆汁に分泌されないで血液に多く混じることになります。
そのため、皮膚や眼球の白いところが黄色くなるのが黄疸です。

 

黄疸は、病気そのものではなく、様々な病気によって現れる症状です。
黄疸の原因は色々あります。

 

原因
溶血性黄疸

溶血性貧血などによって、赤血球が大量に破壊されて血液中のビリルビンが増加するのが原因です。

肝細胞性黄疸

肝炎ウィルスの感染や飲酒が肝細胞に障害を与えて、血液中のビリルビンが増加するものです。

閉塞性黄疸

胆管がん、胆管胆石、水癌などで、胆管が詰まって、胆汁が十二指腸へ流れなくなり、血液中のビリルビンが増加するものです。

体質性黄疸

遺伝的な黄疸で、子供のときから体質的なものです。

 

治療

原因となる病気の治療をしますが、閉そく性の場合は手術をして、胆管のつまりを改善します。体質性黄疸は黄疸がひどくない限り、治療の必要はありません。


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