20歳代〜50歳代がかかりやすい子宮筋腫と子宮内膜症の症状と治療法

子宮筋腫という病気

卵巣ホルモン働きが活発な20歳代〜50歳代に大きくなる子宮筋腫、妊娠の経験のない人がかかりやすい子宮内膜症の症状と治療法です。

卵巣ホルモン働きが活発な20歳代〜50歳代に大きくなる子宮筋腫

卵巣ホルモン働きが活発な20歳代〜50歳代に大きくなる子宮筋腫

受診科

婦人科

 

概要

子宮筋腫は、子宮筋にできる良性の腫瘍のことで、卵巣ホルモンの作用が原因ではないかと考えられています。

 

子宮の筋肉内に筋腫核という筋腫の芽のようなものが発生して、卵巣ホルモン働きが活発になる20歳代〜50歳代にかけて大きくなるとされています。

 

筋腫自体は卵巣ホルモンの機能が低下する閉経期には小さくなり、閉経期に新たに出来ることはなく、逆に、月経異常や閉経期にホルモン療法を行うと、筋腫核や筋腫が大きくなることがあります。

 

症状

30歳以上の女性や約2〜3割か、5人に1人以上が、本人の自覚がなくても何らかの筋腫を持っていると言われており、特に40歳代は要注意で、大きさは個人差があり、小さい物は小豆大くらい、大きなしこりはお腹の上からでもわかります。

  • 過多月経・不正性器出血
    主に粘膜下筋腫で見られる症状で、月経血の量が増え、血の塊が混ざることがあり、不正出血が起こることもあります。
  • 便秘・下腹部痛・頻尿
    筋腫の肥大で周囲の臓器が圧迫され、下腹部痛や便秘、あるいは頻尿や月経痛など様々な症状が現れます。
  • 不妊
    筋腫が子宮内腔や卵管を圧迫して、不妊症になることがしばしばあります。

 

治療

子宮癌など、他の病気がないかを調べますが、他の病気があれば、まず、その病気の治療をします。

 

子宮筋腫の治療の基本は手術することですが、筋腫が小さくて日常生活に支障がない場合や、更年期前後の人は手術しないこともあり、この場合は、必ず子宮癌の定期検査が必要です。

 

過多月経や内臓の圧迫、不妊解消などのために手術を行う場合は、子宮全体を取る子宮全摘手術と、筋腫のみを取る子宮筋腫核出術の2通りあります。

 

症状によって決めますが、出産を希望する場合には核出術を行います。
薬による治療もありますが、完治はのぞめません。
信頼のおける医師とじっくり話し合い、納得のいく治療をすることです。

 

妊娠の経験のない人がかかりやすい子宮内膜症

概要

子宮内膜症は卵胞ホルモンの分泌が盛んな成熟期や、妊娠の経験のない人がかかりやすいことから、卵胞ホルモンの過剰分泌が原因ではないかと考えられています。

 

原因は、はっきりわかっていませんが、いくつかの説があります。

  • 月経時に剥がれた子宮内膜の一部が子宮筋層に紛れたり、卵管を通り腹腔内に散布されるという説
  • 子宮内膜が出来るときに、子宮の内腔以外にも似た組織が出来るという説

 

症状

子宮の筋層組織に内膜様の組織ができる内性子宮内膜症と、卵巣やダグラス窩などの子宮外にできる外性子宮内膜症の2種類ありますが、どちらも発生する部位は、子宮内膜と同じように、月経時に出血があり、重い下腹部痛などの月経困難症や過多月経に悩まされます。

 

卵巣に内膜様の組織ができると、排出されない血液が卵巣にたまり、黒褐色のチョコレート嚢胞になる場合があります。卵巣が腫大して、周囲の臓器を圧迫したり癒着を起こしたりします。

 

また卵管にもでき、腹膜(漿膜)に出来ると癒着をおこすなど、場所によって様々な症状が現れる場合があります。

 

治療

ホルモン療法か手術で治療しますが、併用もあります。
主なホルモン療法には偽妊娠療法と偽閉経療法があり、いずれも内膜症の組織を縮小させたり、異常な内膜の増殖を抑えようという治療です。

 

ホルモン療法で効果が見られない場合には手術を行いますが、両方の卵巣を取ってしまう場合と、病巣だけを切除する温存手術をしますが、温存は再発の恐れがあります。

 

子宮内膜炎・子宮筋層炎

概要

子宮内膜炎は早産・流産・分娩・中絶などの際や、月経時の不衛生がもとで、子宮内膜に細菌がついておこります。

 

症状

子宮内膜炎の症状は、発熱、下腹部痛、血や膿の混じったおりものがあるのですが、炎症が重くなると、子宮内膜の下の筋層にまでおよび、子宮筋層炎になります。

 

治療

安静にし、原因となる菌にあった抗生物質で治療し、重症の場合は摘出する場合があります。