過敏性腸症候群・便秘・下痢・乳糖不耐症の症状と治療

慢性便秘と下痢症

精神的な影響を受けやすい過敏性腸症候群、便秘といっても病気の場合もある慢性便秘、細菌感染の可能性が高い急性下痢、牛乳の乳糖が原因となる乳糖不耐症の症状と治療法です。

精神的な影響を受けやすい過敏性腸症候群

過敏性腸症候群

 

受診科

内科・消化器内科・消化器外科・心療内科

 

原因

胃腸は精神的な影響を受けやすい臓器なので、悩みやトラブルなどの精神的なストレスによって、自律神経系統が乱れ、腸の運動や分泌機能が過敏になって便秘や下痢といった異常をおこします。大腸だけなく胃や小腸にも異常がみられます。

 

症状

便秘や下痢のほかに腹部不快感、腹鳴などがおこります。
また頭痛、めまい、動悸、肩こり、不眠など自律神経失調症の症状も現れます。
便秘や下痢について、それを交互に繰り返すものと、下痢(男性に多い)状態や
便秘(女性に多い)状態が続く可能性があります。
ただ、下痢や便秘が続いたとしても、身体が衰弱することはありません。

 

治療

腸に病変があるのではなく、精神的なものなので、
規則正しく余裕がある生活をすることが必要です。
薬物療法を使ったとしても、整腸剤や精神安定剤を使用する程度です。

 

病気の場合もある慢性便秘

大腸内に便がとどまり、数日便通がないのが便秘症で、
こういった状態が日常的におこるのが慢性便秘です。

原因

病気ではないものや、病気からくるものなど、様々な原因があります。
病気でないものには弛緩性便秘、直腸性便秘、痙攣性便秘などがあります。

  • 弛緩性便秘は結腸の緊張がゆるみ、便が結腸に留まる時間が長くなって、水分が吸収されてしまい、便が硬くなります。
  • 直腸性便秘は薬物や不規則な排便習慣などで直腸の神経が鈍くなって排便しにくくなるものです。
  • けいれん性便秘は自律神経の調整が上手くいかずに結腸が痙攣をおこし、便の通過が困難になります。

 

慢性便秘の原因となる病気は、大腸がんや大腸ポリープ、大腸憩室、子宮筋腫などで、これらの病気があると、腸の内径が狭くなり、便の通過に支障が起きるようになります。

 

症状

便通がないことによる不快感や腹痛、腹部膨満感などが主な症状です。

 

治療

病気が原因の場合は、その治療を行います。
それ以外の原因でおこるものは、食生活の改善や規則正しい排便の習慣などで完治します。
特に便意は朝食後にトイレに行く習慣をつけるのが最善です。
食事では、豆類、イモ類、野菜類の植物性繊維を多く含む食品を摂るようにします。
また、朝の冷たい水や牛乳は便意を催すのに効果が大きいです。
定期的な運動も血液の循環をよくして腸を活動的にするので効果があります。

 

薬剤を使用する場合は医師に相談する必要があります。
浣腸も慢性的に使用すると、直腸神経が麻痺し、直腸性便秘の原因になります。

 

急性と慢性の下痢症

下痢症は便の水分が吸収されずに、便が柔らかくなってしまうものです。
その原因は、細菌、薬物、食品などの影響で、腸の粘膜が炎症をおこすためです。
また、腸の内容物が吸収されにくかったり、腸の蠕動運動が過剰になったり、
腸の粘膜からの粘液が過剰に分泌される場合も下痢を引き起こします。

 

下痢には急性のものと、慢性のものがあります。
どちらも下痢だけではなく、発熱や嘔吐などがある場合は、
何らかの病気が心配されるので、医師の診察を受けましょう。

 

急性下痢

症状

細菌・ウィルス・寄生虫などの感染でおこる感染性下痢
食中毒や食べ過ぎ、精神的なストレスなどでもおこる非感染性下痢とに分かれます。
どちも急に下痢がおきます。

 

治療

安静にして、少しずつ水分を補給していきます。
薬剤では腸運動抑制剤、止瀉剤(ししゃざい)、抗生物質などが用いられますが、
抗生物質が下痢の原因となることがあります。
発熱をともなうものは細菌感染の可能性が高いので、すぐ医師の診察を受ける必要があります。

 

慢性下痢

症状

腸粘膜の慢性炎症、腸内細菌の増殖、大腸粘膜の過敏、吸収障害、精神的なストレスからくるものなどがあります。
大腸がんや潰瘍性大腸炎などの病気が原因となっているものも、中にはありますが、通常は腸に病変は認められず、働きが異常になっておこる過敏性腸症候群です。

 

治療

飲食物では冷たいものや辛い物、脂肪の多いものを避けて、消化の良い食事を摂るようにします。

 

牛乳が原因となる乳糖不耐症

原因

よく牛乳を飲みすぎたりすると、腹痛や下痢をおこすものです。
これは牛乳には乳糖が含まれていますが、乳糖を消化するためには、
小腸粘膜から分泌される酵素が欠かせません。
この酵素が欠乏したり、不足すると乳糖が消化されずに、
腸内に残り、下痢がおきてしまいます。

 

症状

牛乳を飲んだ後、腹鳴、腹痛、下痢がおきます。

 

治療

乳糖を含まない牛乳を飲むようにします。
まれに、乳児では先天的に酵素が不足する病気が見つかりますが、
この病気に羅漢していると、ミルクを与えると、下痢が続き、栄養失調や
脱水症状を招いて、生命の危険を招きます。
この場合、すぐ医師に相談したほうが良いでしょう。


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